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創造の最前線から

思わず電柱を見上げたくなる!? 現役エンジニアが語る「伝送路」をめぐる知られざる真実、その仕事の魅力とは

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ケーブルテレビの信号をお客さま宅内へ運ぶ役割を果たしている伝送路。街中や道路沿いに建てられた電柱を経由して張り巡らされているケーブルや屋外機器を適切に構築・運用するためには、どのような知識と工夫が求められるのでしょうか? 今回は伝送路の構築・運用・保守を担当する二人のエンジニアが登場。伝送路に関する業務内容、求められる知識・経験、仕事の魅力などについて詳しくお聞きしました。

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INDEX
T.K

知多メディアスネットワーク株式会社
技術サービス部 技術課

大学では情報社会学を専攻。学生時代に学んだネットワークの知識を活かしたいと考え、2011年に知多メディアスネットワークへ入社。入社時より伝送路の運用・保守に従事。2013年以降は同社の高速インターネットサービス「メディアス光」のサービス開始に合わせてHFC・FTTH伝送路の運用・保守を担当。同社エリア内にある名鉄太田川駅周辺の無電柱化工事に参画。

H.S

グリーンシティケーブルテレビ株式会社
経営管理本部 技術部 設備グループ

大学では応用生物化学を専攻。実家の最寄り駅の前に旧社屋があり、幼少期から身近に感じていたグリーンシティケーブルテレビへ入社。2010年、営業部からキャリアをスタート。コールセンターなどを経て、2015年には技術部へ異動し、以降は8年間にわたって伝送路設備の構築・運用・保守を担当。同社エリア内を走る国道19号の伝送路埋設化プロジェクトに参画。

電柱・電線には電気だけが通っているわけではない

──ケーブルテレビの伝送路ですが、普通の人にイメージしてもらいやすいのは「電柱の上に乗っているケーブル」ということになりますか?

H.S ) 

はい、それでいいと思います。ケーブルテレビ会社のHE(ヘッドエンド)と呼ばれる設備から送出するCATV信号を、お客さま宅内まで伝送するためのケーブルや屋外機器のことを伝送路設備と呼んでいます。私たちが担当している伝送路の構築・運用・保守業務には、機械的な設計や調整だけでなく、電柱や地下共同溝の物理ケーブルの敷設や修理も含まれます。

T.K ) 

実際に高所作業車に乗って電柱の上にケーブルを敷設したり、共同溝のマンホールを開けてケーブルを這わせたりする工事自体は、工事代理店にお願いしています。私たちの仕事は、伝送路の敷設を予定している現地の調査、伝送路の新規設計、工事に必要な各種申請書類の作成と申請、行政・自治体・お客さま・地域住民の方々との調整、工事代理店への発注・管理、異常発生時の保守対応などがメインとなります。

──私たちが目にする電柱・電線には電気が通っているだけではないのですね。

H.S ) 

通常、電線には複数のケーブルが連なっていると思いますが、一番上に電力会社が使用するケーブルが通っており、その下にケーブルテレビ会社や他の通信会社のケーブルが通っています。このようなケーブルの位置関係は明確に定められているほか、電線と電線の間隔についてもルールがあります。電柱自体は中部電力さんのような電力会社、あるいはNTTさんのような通信会社の所有物となるため、私たちは電柱を所有する企業に対して「この電柱にケーブルを敷設させてください」という申請を出し、許可を得てケーブルを乗せている共架者(きょうがしゃ)・添架者(てんがしゃ)という立場となります。

T.K ) 

区画整理や道路拡張工事などにより、街の電柱は一般の皆さんが考えている以上に頻繁に移動しています。当然、その際は電柱の上に乗っている私たちのケーブルも一緒に動かさなければならないため、工事代理店の方々と協力しながらケーブルの移設作業を行います。また、電柱の移動に伴うケーブルの移設だけでなく、新規のお客さま宅のサービス開通のためにケーブルを敷設する業務も日常的に発生します。お客さまの入居日までに伝送路のルート確認や設計、電柱所有会社への申請、工事の発注を行うという一連の流れがあるのですが、そのような案件を複数・同時並行的に進めることも多いですね。

地域の特性や地形を知ることが最適な伝送路構築につながる

──伝送路の仕事には、どのような知識・経験が必要になるのでしょうか?

T.K ) 

先ほどH.Sさんがお話しされていたような法規も含めた電柱・共同溝におけるケーブル敷設ルールに関する知識はもちろんですが、敷設後の運用・保守を考えた上で最適な設計を提案する知識も求められます。たとえば何も考えずに交通量の多い道路の脇や河川の上を通るようなルートにケーブルを乗せてしまうと、ケーブルが通ってサービスが開通したとしても、保守工事の際に想定外の手間やコストが掛かってしまいます。事前に先々の保守のことまで考えたルートを設計ができるか否かが、この仕事の重要なポイントと言えるでしょうね。

H.S ) 

普通の住宅街でも「地図上で見ると平面なのに、実際に行ってみたら急な坂道になっていて高所作業車のリフトを上げられなかった」「そもそも車が入れない場所だった」というケースも発生しますよね。もちろん電柱の申請を出す前に調査を行ってはいるものの、調査担当者や工事代理店の方々との行き違いが発生することも珍しくありませんし、工事を発注する私たち自身が地域の特性や地形をしっかりと把握しておくことが重要だと考えています。

T.K ) 

私はこの仕事を始めて10年になりますが、自社のサービス管内の道路事情、住宅事情には本当に詳しくなりました。H.Sさんはどうですか?

H.S ) 

私もかなり詳しくなりました。伝送路担当者同士や工事代理店とは「この道路は関係各所への申請が大変だ」「あそこの道は坂がきつくて工事ができないよ」といった内容の話はよくします。

T.K ) 

ある意味、私たちが持っている知識や経験は、地域密着を掲げるケーブルテレビ会社を体現するようなスキルと言えるかもしれませんね。他所の土地から来た人が急に伝送路の仕事を担当しても、最初は上手くいかないかもしれません。

──伝送路の仕事を続けていると、知らず知らずのうちに地域の土地や地形に詳しくなってしまうということですね。その他に伝送路の仕事の「あるあるネタ」のようなものはありますか?

T.K ) 

休みの日に街を歩いているときも電柱や電線に目が行ってしまいます(笑)。

H.S ) 

わかります。とくに私の場合、初めて行く土地では必ず電柱をチェックしてしまう癖がついています。旅行に行くと電柱ばかり見てしましますね。

T.K ) 

海外に行っても見ていますか?

H.S ) 

海外でも見ます。国によって状況は異なりますが、酷いところは本当に酷いです。面白いと言えば面白いのですが「これって電線が落ちてしまうのでは?」と怖くなったこともありますし、改めて「日本の電線って綺麗に整備されているんだな」と感じることもありました。

──業務外の時間でも、ついつい電柱・電線を見てしまうというお二人ですが、最近では電柱の地中化を積極的に進めている地域もありますよね。電柱がなくなってしまったら寂しいと感じられるのでしょうか?

H.S ) 

寂しいというよりも、単純に私たちの業務が増えてしまうことが心配です(笑)。

T.K ) 

H.Sさんのおっしゃる通り、すべての電中が地中化されてしまうと単純に私たちの作業量は増えるはずです。たとえば電柱の上に敷設されたケーブルであれば、切れている箇所があっても一目瞭然ですが、共同溝内のケーブルが切れたという場合、マンホールを開けて中に入らないと切れている箇所を発見することができません。それだけでもトラブルの際の復旧スピードがまったく違ってきますからね。

H.S ) 

そもそも共同溝の所有者は行政・自治体であることが多いので、マンホールを一つ開けるだけでも電柱とは比べものにならないほど多くの申請書類が必要になります。可能であれば多少の電柱は残しておいていただき、そこに大まかな設備を設置したまま、ケーブルだけを共同溝に通すような形にしていただきたいというのが私たちの本音です。それだけでも保守がしやすくなるので。

T.K ) 

本当にそう思います。電柱地中化によって街の美観が向上することは確かですが、私たちにとっては課題になる部分もあったりするんですよ。

今後50年は「太田川駅周辺の美観はオレが作った!」と言い続けたい

──さまざまな興味深いお話をお聞かせいただきありがとうございます。それでは改めて、お二人が感じている伝送路の仕事の魅力・やりがいについて教えてください。

H.S ) 

ケーブルテレビ会社では、番組制作やコンテンツ制作、営業部門などが花形部門です。実際にそれらの部門を目指して入社される方も多いと思います。しかし、テレビ番組もインターネットも、私たちのような伝送路部門が存在しなければ、お客さまにサービスとして届けることはできません。そのような意味では、会社のサービスの根幹を支えている自負がありますし、誇りを持って取り組める仕事であると考えています。

T.K ) 

「これはオレが作ったんだ!」と言える仕事ができることが大きいと思います。先ほど「共同溝の仕事は大変だ」と話したばかりで恐縮ですが、私は自社のサービス管内にある名鉄太田川駅周辺の無電柱化に伴う伝送路設計・移設に関わりました。工事後の太田川駅周辺は大きく変わり、10年前とは比べものにならないほど綺麗になりました。しかも、共同溝は一度作ったら50年は使われ続けるものなので、今後50年は「太田川駅周辺の美観はオレが作った!」と言い続けようと思っています(笑)。

H.S ) 

そのような事例を挙げるとすると、私にとっては国道19号の伝送路埋設に関わった仕事が印象深いです。国道を管理する行政の方々や中部電力さんと一緒に協議を重ね、5年以上の歳月をかけて進めたプロジェクトですからね。ときには国の事業を動かしているような方々と話をさせていただく機会もあるなど、「スケールの大きな仕事に関わっている」という実感が得られました。

──CNCIグループ内で伝送路に関する技術・ノウハウ・事例を共有する機会はありますか?

H.S ) 

グループ各社の担当者が定期的に集まる会議で、ノウハウや事例の共有を積極的に行っています。

T.K ) 

先ほどお話ししたようにケーブルの敷設に関しては、行政や電柱所有会社への申請が必要になりますし、道路に高所作業車を出す関係で警察への申請も必要になります。グループ各社がさまざまな申請を行っているので、「このような申請はされていますか?」「どんなふうに申請されていますか?」といった感じの相談もできます。11社もあるので、どこか一社でも先行していれば情報を得られますから。

H.S ) 

国道などのグループ各社の担当エリアをまたぐような案件では、グループ会社の担当者と相談しながら進める場面もありました。グループ会社でなければ「単なるお隣さん」という感じだったはずですし、上手い具合に協力し合えなかったと思うので、私たちがグループであることのメリットを改めて感じることができました。

──最後になりますが、CNCIグループに興味を持っている方々へのメッセージをお願いします。

H.S ) 

ケーブルテレビ会社のさまざまな技術領域の中でも、伝送路は比較的とっつきやすい領域であると考えています。もちろん先ほどお話しした通り、地域の特性を把握していないと務まらない仕事もありますが、勤務年数を重ねることで少しずつ知識が身に付いていくと思います。
また、私の場合は幼い頃からグリーンシティケーブルテレビのエリア内に住んでいたこともあり、「せっかく働くなら地域貢献がしたい」と考えて入社を決めました。毎日の仕事が自然と地域貢献につながっていく環境なので、地元が好きな方、地元に恩返しがしたいと考えている方は、ぜひ検討いただきたいと思います。

T.K ) 

私も入社理由はH.Sさんと同じですね。生まれ育った街のケーブルテレビということで、知多メディアスネットワークにはずっと愛着を持っていました。東京や大阪に出て働くのも悪くはありませんが、地元が好きで、少しでも地域の方々の力になりたいと考えている方には、ケーブルテレビ会社をお勧めします。

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