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創造の最前線から

世界のビッグテックを相手にスケールの大きな仕事を手掛ける、CNCIのバックボーンネットワークエンジニア

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コミュニティネットワークセンター(以下、CNCI)では、グループ全社のインターネット上位接続回線の設計・構築・運用を担う「バックボーンネットワークエンジニア」が活躍しています。今回は、同社のネットワーク分野のスペシャリストであるS.Oさんにインタビューを行い、バックボーンネットワークエンジニアならではのスケールの大きな仕事内容や、エンジニア同士のさまざまなコミュニティの概要、業務を通して感じている仕事のやりがい・使命感などについて、詳しくお聞きしました。

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INDEX
S.O

株式会社コミュニティネットワークセンター
技術本部 スペシャリスト

2005年、株式会社シーテックへ入社。技術系部門でサーバー系業務を担当後、ネットワークグループに異動。2008年にコミュニティネットワークセンターへ出向し、旧・東海デジタルネットワークセンターとシーテックが提供していたインターネットゲートウェイサービスのネットワーク統合を担当。2022年にCNCIへ転籍しネットワークグループのグループ長を務め、2024年4月、技術本部 スペシャリストに就任。バックボーンネットワークの設計・構築・運用、ピアリング交渉に加え、各種講演会への登壇など、専門性を活かした幅広い業務に取り組む。

増大する通信量を見据え、グループ全体のネット環境をアップデートしていく

──S.Oさんの業務内容についてお聞かせください。

S.O ) 

昨年度までは技術本部 ネットワークグループのマネジメントを担当していましたが、今年度からはスペシャリスト(専門職)として業務に取り組んでいます。基本的には、CNCIグループのバックボーンネットワークの設計・構築・運用、広域L2網/伝送の設計・構築・運用、トラフィック(通信量)の多い通信事業者とのピアリング交渉など、バックボーンネットワークエンジニアと呼ばれる職域の業務を担当しているほか、ネットワーク関連の講演会やセッションへの登壇、理系学生への支援などにも取り組んでいます。

──バックボーンネットワークエンジニアの業務について詳しく教えてください。

S.O ) 

当社は12社のグループ会社を統括運営しているため、ケーブルテレビ各社の上位接続回線を集約し、インターネットに接続する役割を担っています。現在では、動画コンテンツや接続端末の増加、クラウド化、テレワークの普及など、さまざま要因によってインターネットのトラフィックが増え続けているため、ユーザーに快適なインターネット環境を提供するためには、常にネットワークを増強・更新していく必要があります。そのような増強・更新に関する計画を立て、最新テクノロジーの調査および採用検討を行いつつ、最適なネットワークの設計・構築・運用を推進するのがバックボーンネットワークエンジニアの役割です。

──通信事業者とのピアリング交渉とは、どのような業務なのでしょうか?

S.O ) 

基本的に当社のような地域ISPは、より大きな上位ISPを経由してインターネット接続を行っています。その際、当社は使用したトラフィックに応じた金額を従量課金で上位ISPに支払います。一方で、当社は個人ユーザーから月額固定でインターネット使用料をいただいています。つまり、トラフィックが増えれば増えるほど、当社の利益は減り続けることになります。

 

このような状況を回避すべく、私たちはトラフィックの多い通信事業者と交渉を行い、上位ISPを介さない直接接続への切り替えを推進しています。この直接接続をピアリングと呼んでおり、直接接続を実現するための交渉がピアリング交渉です。また、ピアリングのメリットは、コストの削減だけはありません。トラフィックの中継点が減ることで、通信品質が向上するメリットも得られます。

 

ちなみに、私たちがピアリング交渉を行っているトラフィックの多い通信事業者は、GAFAMのようなビッグテックや、誰もが社名を知る世界的なコンテンツプラットフォーマーが中心となります。

世界のビッグテックと対等な立場で話ができるピアリング交渉のイベント

──ピアリングを行うことで、どのくらい通信品質が向上するのですか?

S.O ) 

ケースバイケースですが、世界的なビックテックとピアリングを行った際には、アプリのダウンロード時間を以前の3分の1程度にまで短縮できました。一般的なインターネット用途では体感しにくい部分もありますが、容量の大きいゲームのダウンロードなどに関しては、CNCIグループのサービス提供エリア内でも、かなり速くなりつつあります。

──実際のピアリング交渉は、どのように行うことが多いのでしょうか?

S.O ) 

さまざまなパターンがありますが、「Peering Asia」などのイベントに参加し、対面で交渉を行うことも少なくありません。「Peering Asia」は、世界各国のISPやコンテンツプラットフォーマーのピアリング担当者が集まる場であり、一昨年はバンコク、昨年はソウルで開催され、今年はインドネシアのジャカルタで行われる予定です。

このようなイベントは、世界的なビッグテックの担当者やエンジニアと対等に話ができる貴重な機会となります。ピアリングの交渉はもちろんですが、対面でしか聞けないような業界の最新情報やオフレコ話を聞けることもありますし、イベントで顔見知りになることで、その後のビジネスがスムーズに進んだり、障害対応時に協力し合ったりできるような関係性が生まれることもあります。

──エンジニア同士のコミュニティが生まれる場にもなっているのですね。

S.O ) 

Peering Asia」のような国際的なイベント以外でも、ネットワークエンジニア界隈では、さまざまなコミュニティが形成されています。たとえば日本国内では「JANOGJapan Network Operators' Group)」というコミュニティがあるほか、中部地方には「ChuNOG」というコミュニティもあります。いずれもさまざまな企業のネットワークエンジニアが集まっており、ビジネス上での競合関係を越え、インターネットの発展のために情報を共有し合っているほか、障害時にも協力して対応できるような関係性を築いています。

企業の枠を越えたアプローチでインターネットの成長・発展に貢献したい

──CNCIでバックボーンネットワークエンジニアの仕事をするやりがいやメリットについてお聞かせください。

S.O ) 

インターネットの状況やトレンドをキャッチして最適なネットワークを構築し、増え続けるトラフィックを捌き、ピアリングを通じてコスト削減に貢献するなど、さまざま業務・プロジェクトを通じて大きなやりがいが得られます。また、地域ISPでありながらも世界のビッグテックを相手に仕事ができることや、大企業にはないスピード感で最新機器を導入できること、特定の業務に縛られることなく幅広い仕事にチャレンジできることは、CNCIで働いているからこそ得られるメリットだと感じています。

──今後、CNCIでどのようなことを実現していきたいですか?

S.O ) 

 インターネットに関わるエンジニアとして、インターネットから利益を得ている企業の一員として、インターネットを安定的に運用し、これからも継続的に成長・発展させていきたいと考えています。インターネットは、特定の企業や誰かのものではないからこそ、みんなで協力して支えていく必要があります。まずはCNCIがある中部地方のインターネット環境や、それを支えるネットワーク環境に関して、企業の枠を越えたさまざまなアプローチで貢献しつつ、自分たちの後を継ぐ後進もしっかり育てていきたいと思います。 

 

※掲載記事の内容は、取材当時のものです

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