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創造の最前線から

CNCIグループが推進する「ローカル5G」の実証実験――各社が目指す方向性とビジネス化の可能性に迫る

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5Gの超高速大容量・超低遅延・多数同時接続という特徴はそのままに、外部環境に左右されない独自ネットワークを構築・運用できる手段として注目を集めている「ローカル5G」。今回はCNCIグループ内でローカル5Gの実証実験に取り組むお二人に登場いただき、実現したいユースケースや実験の状況、今後の可能性などについてお聞きしました。

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INDEX
H.M

スターキャット株式会社
営業本部 法人営業部 法人営業2グループ 担当課長

新卒で入社したIT企業ではソフトウェアエンジニアとしてカーナビのデータ整備システムや画像検索システムの開発を担当。2006年にスターキャットへ転職。入社後は情報システム部門、業務管理部門、経営企画部門、営業企画部門、コンシューマ営業部門に在籍し、新規事業の立ち上げやWeb広告、CRM導入プロジェクト、営業部門リーダーなど幅広い業務を担当。2021年4月に現部門へ異動し、同年10月よりローカル5G事業の担当に着任。

S.Y

株式会社コミュニティネットワークセンター
技術本部 無線グループ長

大学卒業後、建設会社に就職。2003年にコミュニティネットワークセンター(CNCI)の前身となる東海デジタルネットワークセンターへ転職し、企画職に従事。2008年のコミュニティネットワークセンター発足後は、通信・インターネット関連のさまざまな業務を担当するとともにグループ会社への出向も経験。現在は同社技術本部の無線グループ長に着任し、ローカル5G関連の新規事業企画や実証実験における各種調整・統括業務を担当する。

CNCIはBtoC、スターキャットはBtoBでのビジネス化を目指す

──CNCIでは2020年から、スターキャットでは2022年からローカル5Gの実証実験に取り組まれていますが、両社の実験内容や取り組み方の違いについて教えていただけますか?

S.Y ) 

CNCIではローカル5Gを用いたFWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)サービスの実証実験を行っています。

H.M ) 

スターキャットでは名古屋市西区のインキュベーション施設である「なごのキャンパス」内にローカル5Gの無線施設を構築し、BtoB向けの実証実験を行っています。CNCIBtoC、当社はBtoBということでユースケースこそ異なりますが、ローカル5Gという技術ベースは同じです。当社は2022年からのスタートですが、先行してスタートされていたCNCIから、さまざまな形で技術情報や人的ネットワークを共有いただきました。

──CNCIはどのような経緯でローカル5Gを用いたFWAに取り組み始めたのでしょうか?

S.Y ) 

私たちは総務省がローカル5Gを制度化した2019年末の前から、5Gに関する調査を開始していました。当時から現在に至るまで、国としては自動運転やロボットの操作、遠隔医療といった産業寄りのユースケースをイメージとして掲げています。ただ、当時の私たちには、そのようなユースケースを実現できるような技術力はありませんでしたし、ローカル5Gに関する機器も出揃っていない状況でした。それならば無理をして実現可能性の低い産業分野に挑むよりも、少しでも可能性の高いFWAにチャレンジすべきだと考え、一般のお客さま向けのビジネス化を目指して実証実験に取り組み始めたのです。

H.M ) 

CNCIはCNCIグループを統括する立場の会社なので、ケーブルテレビ業界全体のことを考えて実現可能性の高いFWAの実証実験にチャレンジされた面もあるのではないでしょうか。そもそも私たちケーブルテレビ会社のメインビジネスはBtoCですからね。当時のCNCIがビジネスとしてスピーディーに展開しやすいFWAを選択したのは、私たちからしても納得できる意思決定です。

──それではスターキャットがBtoBのユースケースを想定した実証実験をスタートされた理由について教えていただけますか?

H.M ) 

CNCIが2020年から先行してFWAの実証実験に取り組まれていたので、私たちが同じことをしても二番煎じになりますし、FWAに関してはCNCIを中心にグループ全体で取り組んでいるという意識もあったので、それならばスターキャットはBtoBにチャレンジしてみようと考えました。どちらかといえばCNCIはケーブルテレビ会社としてのビジネスを考えていたと思いますし、逆に私たちはケーブルテレビ会社の枠から外れようとしていた、そんなイメージかもしれませんね(笑)。

S.Y ) 

ケーブルテレビ会社の枠から外れるといっても、国が目指しているのは産業・農業・漁業・地域DXなどにおける5G活用ですからね。私たちCNCIがチャレンジしているFWAではなく、H.Mさんたちが進めているスターキャットの実証実験の方が将来的な広がりがあるのではないかと感じます。また、2019年当時と比べてローカル5Gに関する機器や環境も着々と整いつつあるので、スターキャットはすごくいいタイミングでスタートを切ったなと感じています。

実証実験を通してわかってきた、ローカル5Gと映像伝送の相性の良さ

──ローカル5Gの実証実験やビジネス化に取り組む面白さ・やりがいはどんなところにあると感じていますか?

S.Y ) 

5G・ローカル5Gに関わっている技術者の多くは、私も含めて「本格的なビジネス化はまだ先の話になるだろう」と考えていると思います。先ほどは「ローカル5Gに関する機器や環境も着々と整いつつある」と言いましたが、ミリ波が普及していないなど、依然としてさまざまなハードルが残されています。それでも見方を変えてみれば、探究や工夫ができる余地がたくさん残されている領域であることは間違いありません。「自分でローカル5Gのスタンダードビジネスを作ってやる」という気概を持っている方にとっては、面白い技術領域であると言えるでしょうね。

H.M ) 

S.Yさんがおっしゃるように、私も現在のローカル5Gはインターネットの黎明期と似たようなフェーズにあると思っています。今からローカル5Gに関わっておけば、この分野における第一人者になれるチャンスは十分にあります。加えてもう一点、私が個人的に面白いなと感じているのは、ローカル5Gと映像伝送の相性が非常に良いということ。現在でもローカル5Gの実証実験の多くは画像解析や自動運転、遠隔操縦といった映像伝送がベースになっていますが、私たちの会社のメインビジネスの一つである放送に活用できる可能性も大いにあるのではないかと考えています。

──ローカル5Gを放送に活用するということですね。詳しく教えていただけますか?

H.M ) 

実際に「なごのキャンパス」でも実験を行ったのですが、ローカル5Gを使ってテレビカメラの映像を無線で飛ばすことができました。これは私たち放送業界の人間からすると非常に画期的なことです。今まではカメアシ(カメラマンアシスタント)と呼ばれる人たちがカメラマンの後ろでケーブルを捌いていたわけですが、そのような煩雑さから解放されることになりますからね。同じ無線でもWi-Fiの場合、この部屋一室くらいの広さでしか通信できませんが、ローカル5Gであれば「なごのキャンパス」の広いグラウンドを一周回ってきても映像を送り続けることができます。

──実際に実証実験も行われたのですね。今後はどのようなユースケースが考えられるでしょうか?

H.M ) 

まずはエンタメ、スポーツといった映像分野での活用を検討したいです。たとえばスタジアムのような環境ではパブリック5Gとローカル5Gの併用なども考えられます。パブリック5Gは観客の皆さんがスマホの接続などに使い、ローカル5Gは中継用のカメラのためだけに回線速度を確保するという使い方です。パブリック5Gは接続する人が増えれば増えるほど速度が落ちてしまいますが、そもそも公共的な用途のための技術なので仕方がありません。一方のローカル5Gは、一度に数千人が集まるような場所であっても、一台のカメラのためだけに通信を提供することができますからね。

S.Y ) 

とても興味深いですね。ケーブルテレビやインターネットサービスに加えて映画館の運営も行うなど、映像に対する強いこだわりを持ったスターキャットらしいローカル5Gの活用方法だと思います。

各社の手法で可能性を模索しつつ、ベースの部分で協力し合える体制を

──今後もCNCIグループでは、ローカル5Gに関する協業や情報・ノウハウの共有を積極的に行われるのでしょうか。

S.Y ) 

そうですね。最初にH.Mさんがお話しされたように、2020年頃からさまざま形で連携していますので、今後も積極的に各社の情報・ノウハウを交換できるような場を作っていきたいと考えています。来週もスターキャットの「なごのキャンパス」オフィスをお借りして、H.Mさんと一緒に機器の検証を行うことになっています。

H.M ) 

私たちも「なごのキャンパス」を借りる以前は、CNCIのラボにお邪魔して、色々と勉強させてもらいましたからね。グループ会社同士でリソースや情報を共有し合える環境があるのは良いことですよね。

S.Y ) 

CNCIとスターキャットでもローカル5Gに関する取り組み方が大きく違いますし、キャッチネットワークは自動車業界のお客さまと一緒に物流・製造現場での実証実験を進めていると聞いています。先ほどもお話ししたようにローカル5Gに関しては、まだ何が正解かわからない状況なので、各社の個性を活かした手法で可能性を模索しつつ、ベースの部分では協力し合える体制を構築していきたいと考えています。

──最後になりますが、CNCIグループに興味を持っている方々へのメッセージをお願いします。

H.M ) 

ケーブルテレビ会社で働くメリットは2つあると考えています。一つは自社でさまざまな設備を保有していることです。光ファイバー網はもちろん、データセンターまで持っていますからね。エンジニアにとってはたまらない環境が整っていると思います。もう一つは数百名規模の会社でありながらも超大手の通信キャリアと張り合えるような仕事ができることです。当然、人数が少ないだけに一人ひとりがカバーしなければならない業務範囲も広くなりますが、チャレンジしようと思えば何でもできてしまう裁量の大きさに魅力を感じてほしいですね。

S.Y ) 

CNCIグループの中でも、CNCIは少し特殊な会社です。ほかの11社のようにお客さまに直接サービスを提供している会社ではありませんが、ローカル5Gを用いたFWAの実証実験のように、他社に先行して新しい技術にチャレンジし、そこで得られた情報・ノウハウをグループ全体に共有していくような役割を担っています。そんな仕事に少しでも興味をお持ちになられた方は、ぜひCNCIも選択肢の一つに加えてみてください。

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