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創造の最前線から

二人のベテラン技術者が語る――ケーブルテレビ会社のBtoCサービスに必要不可欠な「宅内技術」のリアル

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ケーブルテレビ会社が各種サービスを提供するためには、一軒一軒のお客さま宅での回線引込工事やケーブル接続、機器設定が必要となります。ケーブルテレビ業界では、このようなお客さま宅内における技術・業務分野を「宅内技術」と呼んでおり、各社が専任の技術者を育成しています。今回は長年、宅内技術を担当されてきたお二方をお招きし、宅内技術の業務内容や現状の課題、仕事の魅力・やりがい、グループ内での協力体制などについて語っていただきました。

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INDEX
M.T

CCNet株式会社
ソリューション本部 お客様サポート部 統括・CS推進グループ 専門副長

大学では電子工学を専攻。2002年に中部ケーブルネットワーク(現CCNet)へ入社。本店技術部にて業務エリア拡大に伴う設備構築等に従事。その後、同社各局内にて伝送路設備の保守管理、引込宅内工事の管理等を担当。2013〜2019年にかけてFTTHサービスの開始・HFCサービスの終了(一部エリア)に伴う引込宅内工事管理業務を担当。2020年、本店技術部へ異動し、技術部門の業務計画進捗管理・予算管理業務、官公庁手続き業務を担当。2022年より現職。

T.F

知多半島ケーブルネットワーク株式会社
営業部 カスタマーサービス課 課長代理

前職は知多半島ケーブルネットワークの引込工事委託会社に勤務し、10年以上にわたってサービス加入者さま宅における引込工事・宅内工事を担当。2016年、知多半島ケーブルネットワークへ入社。サービス技術部カスタマーサービス課にて、お客さまサポートおよび工事支援を担当。2020年よりサービス技術部技術管理課へ異動し、引込・宅内工事の管理を担当。2022年10月、同社の組織変更に伴い現職に着任。

無線インターネットの登場によって幅広い知識が必要になった宅内技術業務

──ケーブルテレビの宅内技術とは、どのような技術・業務なのでしょうか?

M.T ) 

ケーブルテレビ会社では、ケーブルテレビや有線・無線インターネットといった各種サービスを正常かつ快適にご利用いただくために、お客さま宅内での工事を行いますが、その際に必要となる技術が宅内技術です。具体的な業務としては、お客さま宅内への回線の引込みをメインに、地上デジタル放送、BSCSデジタル放送などを受信するためのチューナーであるSTB(セットトップボックス)やルーター、テレビやパソコン等への配線・接続・設定・調整などをトータルで行っています。このような宅内工事においては、法律で定められている他社設備との離隔なども含め、安全な工事を行うことが重要になります。

T.F ) 

 お客さま宅内の構造は一軒一軒異なっており、お客さまご自身も把握されていないような場所に機器や回線の接続ポイントが配置されているケースもあります。たとえば天井裏やユニットバスの裏から配線を行う必要があるお宅もあるなど、さまざまな状況が考えられるため、工事を行う際にもそれなりの経験が求められます。

M.T ) 

「リビングだけでなく寝室でもテレビが観たい」「二階の子ども部屋でもネットが使えるようにしたい」といった、お客さまのさまざまなご要望にお応えするためには、お客さま宅の構造や設備・配管の状況を正確に把握する必要があり、それらの構造・状況に応じた工事のご提案を行う必要があります。たとえば多くのお客さま宅では、エアコンの室外機のダクトを通じて光ケーブルを引き込めるのですが、そのようなダクトがなかったり、適切な配管が存在しなかったりする場合は別の手段を考えなければなりません。

T.F ) 

実際の工事については工事代理店に委託していますが、状況によっては私たち各ケーブルテレビ会社の社員が同行するケースもあります。M.Tさんがお話されたような難しい工事が必要になる場合には、お客さまへの丁寧な説明や提案が必要になりますし、工事代理店へのアドバイスなども必要になりますからね。

──ここ数年における宅内技術の変化・進化について、お二人が感じていることについて教えてください。

M.T ) 

テレビとインターネットの垣根がなくなってきたことが大きいですね。YouTubeのようなサービスはもちろん、NetflixやHuluといったOTTサービスも一般的になりました。また、「リビングだけでなくお風呂場でもテレビやネットを使いたい」といったニーズも増えており、ここ数年で宅内における無線サービスの果たす役割も広がってきました。10年前、20年前と比べても非常に幅広い知識が求められるようになったと感じます。

T.F ) 

本当にその通りですね。お客さまからのお問い合わせに関しても「Wi-Fiがつながらない」といったインターネット関連のご相談が多くなっています。「テレビが映らない」という問い合わせに関してはコールセンターで対応できることがほとんどですが、無線については目に見えない電波を扱っていますからね。サポートはもちろんですが、初期工事の段階から苦労する部分ではあります。

M.T ) 

私が入社した当時のテレビ機器は、電源を入れて赤と白と黄色の線をつなげばOKという感じで、今と比べればかなりシンプルでした(笑)。その頃と比べると機器の制御も含めたデジタル的な要素が増えていますし、さらには著作権の問題なども絡むようになったので、以前のような「つなげばすぐ映る」という感覚はなくなってしまいましたね。

一軒一軒の状況が違うため、現地にいかなければわからないことも多い

──宅内技術を担当されている皆さんは、有線・無線インターネットに関する知識・技術に関して、どのようにキャッチアップされているのでしょうか?

T.F ) 

以前は建築現場に行って配管の仕組みを確認し、大工さんの作業を見学するなど、現場作業的な業務の知識習得に努めていたのですが、インターネットの機器や配線、無線の仕組みなどについては、ネット上で情報を収集することが多くなりました。

M.T ) 

CNCIグループでの研修や外部講習などにも参加しているほか、日本ケーブルラボ主催のJQE資格の取得も推進していますが、知識のアップデートだけでは対応できないことも少なくありません。実際にはT.Fさんがお話されたように、ネット上で調べたり資料を集めたりした上で、個別のお問い合わせに対応しながら事例を収集し、ノウハウの蓄積に努めているというのが実情です。

T.F ) 

先ほどもお話した通り、一軒一軒のお宅で配線の状況が違いますし、宅内のどこにWi-Fiルーターが設置されているかによっても、電波の飛び先・飛び方が変わってくるので、実際に行ってみないとわからないことが多いですよね。

M.T ) 

そうですね。ルーターやSTBなど、機器の取り扱いであれば事前の知識やマニュアルによる説明も可能ですが、無線電波の状況や配線については、お客さま宅内の状況に左右されますからね。現場に応じた柔軟な対応こそが宅内技術業務の重要なポイントであり、難しいところでもあると感じます。

──現在、CNCIグループ各社のサービス提供エリアでは、HFC(光ファイバーと同軸ケーブルのハイブリッド型)からFTTH(光ケーブルの宅内への直接引込み)への切り替えを推進していますが、CCNetと知多半島ケーブルネットワークのエリア内では、どの程度切り替えが完了しているのでしょうか?

M.T ) 

CCNetは、2022年9月末時点で83%ですね。

T.F ) 

 知多半島ケーブルネットワークは、約60 %といったところでしょうか。

M.T ) 

愛知県内では大部分が完了していますが、岐阜県、三重県などについても3年以内に切り替えていく予定です。

T.F ) 

当社も可能な限り前倒しで進めていく予定ですが、完全な切り替えまでには2年ほど掛かると思います。

M.T ) 

HFCからFTTHへの切り替えについては、一軒一軒のお客さまへの丁寧な説明が必要になりますからね。お客さま交渉担当、事務処理担当、工事代理店、伝送路保守会社など、社内外の関係者が一丸となって課題を解決していく必要があります。CCNetの管内では2019年に愛知県の一部エリアでHFCサービスを終了し、FTTHサービスへの切り替えを完了しましたが、HFCサービスのセンター設備・伝送路設備を停止した際には、大きな達成感が得られました。

T.F ) 

お客さまにとってはHFCでもFTTHでもテレビやネットを使えることには変わりないですからね。そのような状況の中でも、私たちケーブルテレビ会社としては古い設備を使い続けて故障が発生するような事態を避けなければなりませんし、お客さまに対してはFTTHに切り替えることで得られる速度面でのメリットなどを丁寧にお伝えすることで、一軒一軒の工事を円滑に進めていく必要があると考えています。

安全かつ安定的なサービスの提供体制構築を目指して

──ケーブルテレビ会社で宅内技術の仕事に携わる魅力・やりがいについては、どのようにお考えでしょうか?

T.F ) 

お客さまの笑顔に直結する仕事であることに尽きますね。最近は工事管理の仕事がメインなので、私自身がお客さま宅を直接訪問する機会はほとんどなくなりましたが、それでもコールセンターへの電話や工事代理店を通じて、「丁寧に対応してくれた」「綺麗な工事ができた」「ネットがつながって助かった」といったお客さまの声をお聞きした際には、本当に嬉しく思います。

M.T ) 

放送・通信・電話サービスの技術は年々進化していますが、お客さまに対して快適なサービスをお届けするという私たちの最終目標は変わりません。新しい技術を学び、工事代理店と協力することで、多くのお客さまのための「安全かつ安定的なサービスの提供体制」を構築する仕事ができていることにやりがいを感じます。

──CNCIグループ内で宅内技術に関する技術・ノウハウ・事例等を共有することはあるのでしょうか?

T.F ) 

CNCIグループの合同研修がありますし、階層別研修などでグループ各社に知り合いができやすいので、困ったことがあったら電話やメールで個別に相談することも少なくありません。

M.T ) 

技術のことはもちろんですが、行政対応や法律関係のことも相談できますからね。会議体など公の場では聞きにくいことであっても、担当者同士で個別に連絡が取り合えるような関係性を築けていることは大きいと思います。

T.F ) 

私たち知多半島ケーブルネットワークは、お隣の知多メディアスネットワークと工事面で連携していますが、今後はそのような連携がもっと大きな範囲に広がっていくかもしれませんね。

M.T ) 

エリアを跨いだ工事代理店との協力体制、工事仕様書の統一など、まだまだ難しい課題はたくさん残されていますが、少しずつでもグループで協業できる業務を増やし、効率化を図っていきたいですね。

──最後になりますがCNCIグループに興味を持っている方々へのメッセージをお願いします。

M.T ) 

私は新卒の頃、ケーブルテレビ会社で求められる知識・技術について、まったく理解していませんでした。それでも入社後の業務や研修を通して学びながら20年以上働き続けていますからね(笑)。業務で求められる知識・技術については入社後にしっかりサポートできる体制があるので、現時点での知識量や技術力については気にしなくてもいいと思います。

T.F ) 

ケーブルテレビ会社の宅内技術は、お客さま宅内の状況・環境について、一つひとつ論理的に考えながら課題を解決していく仕事となるので、論理的な思考法が身に付いている理系の方々にピッタリだと思います。また、さまざまな機器のマニュアルを読みこなす必要があるので、文系学部で身に付くような読解力も十分に活かせるはずです。あとはM.Tさんがおっしゃる通り、各社の上司・先輩がしっかりサポートしてくれるはずなので、不安を感じることなくチャレンジしてほしいです。

M.T ) 

各社が研修・教育制度をしっかり整えていますし、CNCIグループの研修もあるので学ぶ機会は豊富にあると思います。少しでも興味を持たれた方は、ぜひ積極的にエントリーしてください。

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